地方移住に対する地方自治体の支援策について【移住に特化した支援の紹介】

移住

コロナ禍を経て働き方が徐々に変わりつつある中、都会から地方へ移住する人が今後ますます増えることが予想されます。

一方、地方では、労働の中核的な担い手である生産年齢人口(15~64歳)の減少と少子高齢化の進展により、都会からの移住者を積極的に求めています。
このような状況ですので、地方自治体の移住者に対する支援、特に資金面での支援に積極的な自治体が増えています。

今回は、自治体による支援のうち、特色のある移住支援の具体例について紹介します。

長野県 小布施町(おぶせまち)

  • 概要

移住に向け、関係人口を創り出すことや、その拡大に向けた取り組み

  • 具体例

「小布施バーチャル町民会議」の開催

平成24年以降、35歳以下の若者100人以上が全国から集まり、3日間にわたって、地方の抱える共通課題を解決するためのアイデアを出し合い、提案する「小布施若者会議」が行われていたようです。
近年はこの流れを汲む「小布施バーチャル町民会議」が行われており、小布施町に拠点を置く企業・団体と全国の参加者が協力し、小布施町でのフィールドワークやオンラインでのディスカッションを行うなど、様々なプログラムを実施中です。 
こうした取り組みの中で、特に若い世代や地域課題の解決に関心を持つ人々が、町に愛着を持ち、「小布施ファン」として、実際に移住してくる事例も見られるようです。

参考:小布施バーチャル町民会議

宮城県 七ヶ宿町(しちかしゅくまち)

  • 概要

移住に向け、関係人口を創り出すことや、その拡大に向けた取り組み

  • 具体例

新築の戸建て住宅に入居でき、20年間住むと土地・建物を無償で取得できる

新築の戸建て住宅に入居でき、20年間住むと土地と建物が無償で譲渡される「地域担い手づくり支援住宅」の事業を実施しています。対象は、40歳までの夫婦で、中学生以下の子供を持つ家族です。
住居は設計段階から移住者が打ち合わせに参加し、間取りを自由に決められる仕組みとなっています。毎年2棟建設しており、多い時には10組以上の応募もあるようで、応募者の中から面接を実施して入居者を決定しています。
また、子育て支援制度も充実しており、新居を求め移住した上で手厚い子育て支援を受けることが可能です。子どもの数により、成長に応じて支援金を受けることもできます。

 参考:しちかしゅ暮らし

 参考:しちかしゅく子育て支援制度

新潟県 佐渡市(さどし)

  • 概要

関係人口の維持に関する取り組み

  • 具体例

佐渡にゆかりのある若者から成るコミュニティ「佐渡部」の運営など

地元から離れていく若者に、故郷である佐渡と繋がっていてもらいたいとの趣旨で運営されている「佐渡部」は、20〜30代の佐渡にゆかりのある若者から成るコミュニティとなっているようです。
令和5年1月現在の部員数は100名程で、年1〜2回程、東京や新潟でイベントを実施しています。この枠組みの中で、成人式やUIターンフェアで情報発信を行い、佐渡とのつながりを持ってもらい、Uターンにつながるよう移住潜在層にアプローチしているようです。実際に佐渡部出身者の15名程が移住に繋がっているということで、効果的な取り組みです。
また、佐渡に興味を持ってもらうため、令和3年度には東京で「SADOワーケーションセミナー」をハイブリッド形式で開催しており、50名程度が参加し、実際に移住に繋がったようです。
関係人口の維持からUターンやIターンに繋げており、取り組みやすく運営も比較的簡便であり、他の自治体でも取り組み可能ではないかと思います。

参考:佐渡UIターンサポートセンター

鳥取県 琴浦町(ことうらちょう)

  • 概要

空き家バンクの活用を中心とする支援制度の整備

  • 具体例

全国の自治体で初めて360度ビューを導入した「空き家ナビ」など

他の自治体でも空き家情報を集約したホームページ(サイト)を作っていますが、琴平町では全国の自治体で初めて360度ビューを導入し、移住者が来町できない場合でも、オンラインで内見することが可能となっています。とても利便性が高く、住んでみたくなるサイトの作りとなっています。
住宅に関する支援制度としては、空き家ナビに登録されている空き家に、町外から入居した場合に奨励金を支給する「移住定住奨励金」や、リフォーム代を助成する「空き家リフォーム代補助金」があるなど、充実しています。
内見の際に移住希望者が綺麗な状態で物件を見られるよう、不要なものの撤去費を空き家所有者に助成するなど、細かな工夫が行われているようです。
また、琴浦町内において新たに起業する個人、事業者及び町内にオフィスを移転する県外事業者を応援する「琴浦でスタート!応援補助金」という仕組みもあるようで、移住者にとっての

参考:琴平町移住定住サイト

参考:空き家ナビ

参考:琴浦でスタート!応援補助金

島根県 海士町(あまちょう)

  • 概要

関係人口の創出・増加による移住の促進

  • 具体例

若者を対象とした中長期の滞在プロジェクトにより滞在人口を維持

15年ほどの間に750人以上の移住者を迎え入れ、そのうち350人以上が現在も在島している驚くべき町です。
取り組みとして、希望者のそれぞれの目的や希望滞在期間にあわせ、複業島留学(2年間〜/20〜35歳の人向け)、大人の島留学(1年間〜/20~29歳の人向け)、島体験(3カ月〜/20〜29歳の方)の3種類の留学プログラムを実施し、常に人が還流しながら、町の機能を維持するために必要な人口を維持している、とのことです。
また、時期に応じて働く場所を変えていくという、いわゆるマルチワークを推進する「AMUWORK」や、半農半X・半官半Xといった様々な働き方を提唱するなど、極めて特色ある取り組みを推進しており、日本全国で少子高齢化に加え生産年齢人口の減少も進展する中、長年にわたり注目されている自治体でもあります。

参考:大人の島留学

参考:AMU WORK

参考:海士町公式note「これまで取り組んできたことを次の世代へ紡いでいくー半官半Xという働き方」
 

まとめ

特色ある移住支援を行っている自治体を取り上げました。

生産年齢人口の減少が急激に進む地方において、働き盛り世代の移住は無くてはならない施策となっています。
移住先として選んでもらえるよう、様々な取り組みを行っている自治体が増えてきていますが、そのような自治体は移住者の受け入れ体制(移住後も継続してサポートしてくれるような制度を設けている)も充実していますので、まずは移住者向けの支援を行っている自治体かどうかを確認することも良いかと思います。

地方は働き手を求めています。ぜひ各種支援策を確認し、自分の希望する移住先を選んでください。

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