【新規就農】地方で新規に就農するための最適な方法について

仕事

地方に移住する目的として、農業に携わりたい=新規就農したい、という人も多いかと思います。
また、地方に移住して生活する上で、農業を仕事にする、という選択をする人もいます。
ここでは、新規就農するためのプロセスについて解説します。

新規就農の種類

ひと口に新規就農と言っても、農業へのかかわり方は様々です。
思い切って収入全てを農業で生み出す!という意気込みの人もいれば、就農したいけど完全に農業一本で食べていくには難しいから他の仕事をしながら農業に従事したい、という人もいます。
また、趣味として農業をやってみたい、という人もいるでしょう。

いずれにしても、まずは就農とはどういうことかを知ることが大切です。

  • 就農を知ろう

漠然と、地方に移住して農業に従事してみたい、という考えを持っている人もいると思います。まずは、就農とはどういう生活なのかを知ることが大切です。
農林水産省のHPに「あふてらす」という、田舎に移住して農業を営みたい人向けのサイトがあります。ここには、先に移住して農業に従事している先輩たちの体験談が掲載されています。別のページでは、あまり聞けない苦労話も含めた紹介ページもあります(「農業を始める「リアル」ストーリー」

体験談を読むと、具体的な就農のイメージが沸いてくると思います。農業は厳しそうだな、と感じる人もいれば、自分の理想とするライフサイクルを作れそう、と感じる人もいると思います。
地方に移住して就農する場合、知識・経験・資金面でスタート時期は少し大変ですので、ぜひ先輩たちの体験談を参考に、準備を進めることをおススメします。

  • 就農についての話を聞いてみよう

就農したい人向けのイベントは、結構な頻度で開かれています。
就農相談会のような形式で、農家さんと触れ合うイベントもありますし、地方への移住を紹介するイベント、例えばふるさと回帰フェアで、自治体などの担当者に就農の話を聞ける機会もあります。
通常は無料で開催されていますので、足を運んでみても良いでしょう。

「農業をはじめる.jp」というサイトでは、就農相談やイベントの情報を一覧化して掲載していますので、気になる自治体等の相談会をチェックしてみては如何でしょう。

どんな農作物を作るか考える

次に取り組むこととして、農業について勉強が必要です。前提として、どんな種類の作物を作りたいのかを決めなければなりません。

栽培したい農作物は野菜なのか、果物なのか、花なのか、菌類なのか、それとも酪農に取り組みたいのか…。やりたいことによって、適した地域や面積、必要になる設備が異なります。

どんな農業を始めるかを考える際、ぜひ新規就農相談センターを活用しましょう。新規就農相談センターは、農業を始めたいという人や、農業法人に就職したいという人たちの相談に応じるための公的な窓口です。全国新規就農相談センターという窓口もありますし、都道府県ごとに相談窓口もあります(窓口一覧はこちら)

新規就農相談センターには、都道府県や市町村の農地の情報、農業研修の受け入れ情報、農業法人などでの農業体験、実際の求人情報が集まっていますし、定期的に就農イベントも開催していますので、サイトを確認し、相談してみてください。

栽培する農作物をイメージできたこの段階で、得られる利益について考え始めましょう。どれくらい費用がかかり、どれくらい収入を確保でき、その結果として、どれくらいのタイミングで利益(収入ー費用でプラスになるタイミング)を得られるかを予めシミュレーションしておくことで、失敗のリスクを減らすことに繋がります。

就農に向けて学ぶ

就農について具体化できてきたら、就農する前に、作りたい作物の栽培方法を含め、農業全般について学びましょう。一人で就農してから学ぶのはリスクが高いです。

就農する前に、農業について学ぶとすると、
①農業大学校などの教育機関で学ぶ
②自治体などの公的機関やJAの農業研修に参加する
③農業法人や個人の農家さんのもとで農業研修に参加する
が考えられます。

学び方については、「農業を始める.jp」にも詳しく記載がありますので、参照してみてください。

  • 農業大学校などの教育機関で学ぶ

農業の知識や技術全般をしっかり学ぶには、公的な農業大学校や、民間の農業研修センターなどが実施するカリキュラムを活用し、じっくり勉強するという方法があります。本格的な勉強をすることになるため、数ヶ月から2年間など、コースによって様々なスケジュールが設定されています。

農業大学校は、農業経営の担い手を養成する中核的な機関として、全国各地の道府県に設置されています(設置していない道府県もあります)。基本的には入寮し、1~2年間の長期間にわたり、しっかりと勉強することになります。なお、入学には入試もありますが、本気で農業と向き合う考えであれば、農業大学校も選択肢に入れても良いのではないかと思います。

民間の農業研修センターの場合、入寮するコースと、週末や夜間に受講できる研修やオンライン講座などの通信教育コースなどが用意されています。社会人が働きながら学ぶことができる機会も増えています。

  • 公的機関やJAの農業研修に参加する

自治体、特に都道府県では、農業研修を積極的に実施している事例が多いです。農業を始めたい具体的な地域が決まっている人は、その自治体の農業研修に参加するという方法もおススメです。インターネットで「自治体名 農業 研修」、と検索すると、様々な研修を発見できます。例えば東京都であれば、東京都農林水産振興財団が農業研修制度などを実施しています。

また、全国にあるJA(農業協同組合)も、新規就農等のための研修を充実させています。全農のホームページに、都道府県それぞれのJAごとに行われている研修を検索できるページがありますので、使ってみては如何でしょうか。→JA新規就農支援

研修の内容ですが、一般的には、基本的な知識や技術を学ぶ基礎研修と、実際に地域の農家の下で指導を受けながら農作物の栽培技術と農業経営を習得する実践研修、の2段階で行われています。地域に根差した研修スタイルとなりますので、もしその地域で継続して就農するのであれば、人的なネットワークづくりにも役立ちます。

  • 農業法人や個人の農家さんのもとで農業研修に参加する

農業の世界に飛び込む決意を固めている人には、法人として経営している農家(農業法人)に就職し、実際に働きながら農業を学ぶという方法もあります。

農業法人で学ぶメリットとしては、法人化して経営を行うほどに成功した農家の農作業や農業経営を間近で見て、そのノウハウを習得することができるということです。農業法人で働き続ける場合も、独立して就農する場合も、この経験は貴重な財産になります。

最近では、人材育成を重視して、農業未経験者を受入れ、将来的に独立して就農できるように指導を行う農業法人も多数あります。ただし、農業法人が行っている農業を深く学ぶことになるので、自分が行いたい農業スタイルやキャリア形成のイメージと合うかどうかを、慎重に考えて就職先として選ぶことが重要です。

農地取得や移住などの手続きを行う

就農の知識を得たら、あとは農業を営むための手続きの実施です。ただ、これは想像以上に大変でもあります。
まず、地方への移住そのものについては、国の地方創生移住支援金を受給するなど、出費を抑えることが可能です。

農業を営むのに必要な資金については、作りたい作物にもよりますが、トラクターなどの大型機器を自前で用意すると1000万円以上必要となってきます。必要な資金について、農協の融資制度などの活用を視野に入れても良いかと思います。

他方、盲点として、新たに農業を始めようと思ったときに高いハードルとなるのが、農地の取得です。
法律で農地は保護されており、取得には市町村に設置された農業委員会の許可が必要となります。
地方では耕作放棄地など農地を取り巻く課題が山積していますが、農地を持っている所有者にとって、その土地を他人に譲るのは心理的な抵抗があります。いずれにしても、農地の取得には農業委員会の許可が不可欠です。

農業委員会の許可に必要な要件は以下のとおりです。

1.農地のすべてを効率的に利用すること
 機械や労働力を適切に利用するための営農計画を持っていること。

2.必要な農作業に常時従事すること
 農地の取得者が、必要な農作業に常時従事(原則、年間150日以上)すること。

3.一定の面積を経営すること
 農地取得後の農地面積の合計が、原則50アール(北海道は2ヘクタール)以上であることが必要。なお、この面積は地域の実情に応じて、農業委員会の判断で引き下げることが可能です。

4.周辺の農地利用に支障がないこと
 水利調整に参加しない、無農薬栽培の取り組みが行われている地域で農薬を使用するなど、周辺の農地利用に支障を生じさせる行為をしないこと。

農地の情報は、地域の不動産業者や就農支援機関、農業委員会で紹介してもらえますが、実際の手続きは自分で行う必要があります。農業委員会への諸手続きについては、ノウハウのある専門家に頼ることで解決を図ることができます。なお、農業委員会の許可が出た場合、売買契約書の取り交わしなども必要となってきます。

もっと手間をかけず農業を始めたい場合、まずは農地を賃貸借する方法があります。むしろその方が簡単かもしれません。農地の賃貸借も一定の要件がありますので、農業委員会を所管している市町村に確認した方が良いでしょう。この場合も、専門家に頼る方法が手早いです。

まとめ

地方で新規に就農するには、いくつかのステップがあることが分かっていただけたかと思います。

作りたい作物を決める→就農の勉強をする→農地を取得するなど手続きを踏む、の流れがありますが、特に大きなハードルなのが、農地の取得です。

就農に向けた勉強を進めるとともに、農地の取得に向け、早めに行動することが大切です。農家として早く軌道に乗せるため、まずは専門家に相談することが良いのではないかと思います。

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