【建設業】の許可を受ける ~移住先で建設業の許可を受ける方法について その①概要~

仕事

もし建設業で働いた経験がある場合、地方移住して【建設業】を始めたいと思うかもしれません。
建設業を営む法人の起業そのものは、法人設立手続きを行えば足りますが、実際に業務を行う場合、自治体等に建設に関する許認可を受ける必要があります。
今回は、建設業を営む際の留意点などについて、解説します。

建設業とは

建設業とは、文字通り、建設工事を生業とする業種です。
ただ、建設業を定める建設業法などの法律に「工事」に関する正確な定義はなされておらず、法の対象とする建設工事の名称のみ定められています。
建設業法上の建設工事は以下のとおりです。

土木一式工事管工事塗装工事建具工事
建築一式工事タイル・れんが・ブロック工事防水工事水道施設工事
大工工事鋼構造物工事内装仕上工事消防施設工事
左官工事鉄筋工事機械器具設置工事清掃施設工事
とび・土工・コンクリート工事ほ装工事熱絶縁工事解体工事
石工事しゅんせつ工事電気通信工事
屋根工事板金工事造園工事
電気工事ガラス工事さく井工事

このように、ひと口に建設業の工事といっても、思ったより幅広い工事が対象となることが分かります。 

建設業を営むには、建設業法に定める「建設業者」として、建設工事を行うことになります。そして建設業者は、建設業法第3条第1項の規定により、行政から許可を受けなければなりません。
(軽微な建設工事のみ請け負う場合は許可不要です)

また、建設業と切っても切れないのが、行政の発注する公共工事です。
公共工事については、工事を発注する国、地方自治体などにあらかじめ入札資格を取得しておき、工事の発注(入札募集)ごとに入札参加し、原則として最も安い価格を提示した業者が落札する仕組みです。

建設業の許可について

すでに述べたように、建設業を営もうとする場合は、行政から許可を受ける必要があります。

・許可を出す行政庁(許可権者)

行政庁の許可は、要件に応じ、以下のとおり国土交通大臣または都道府県知事から受けます。

要件許可を出す行政庁(許可権者)
2以上の都道府県に営業所を設けて営業しようとする場合国土交通大臣
(国土交通省の機関に申請)
1つの都道府県のみに営業所を設けて営業しようとする場合都道府県知事
(都道府県に申請)
※営業所とは、「本店」、「支店」、「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」のことを指しています。

基本的には行政から許可を受ける必要がありますが、以下のような軽微な建設工事のみ請け負う場合、その許可は不要です。

工事内容要件
建築一式工事1件の請負金額が、1,500万円に満たない工事 または
延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事
それ以外の工事1件の請負金額が500万円に満たない工事

・営業所の要件

営業所についても、要件が定められています。
営業所とは、請負契約の締結に関する実体的な行為(見積・入札・契約等)を行う事務所であって、少なくとも以下の要件を備えているものをいいます。
単なる登記上の本店に過ぎないものや、建設業と無関係な支店、請求や入金等の事務作業のみを行う事務所・事務連絡所、工事作業員の詰める工事現場事務所や作業所等は、営業所には該当しません。
他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与する事務所であれば、営業所に該当します。

全て満たす必要あり営業所の要件
外部から来客を迎え入れ、請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行っていること
・電話※・机・各種事務台帳等を備え、契約の締結等ができるスペースを有し、他法人又は他の個人事業主の事務室等とは間仕切り等で明確に区分されていること
 ※業務用の携帯電話でも可です
・同一法人で本社と営業所が同一フロアである場合は、仕切り等は必要ないが、明らかに他の営業所と分かるよう看板等を掲示し、営業形態も別とすること
・個人の住宅にある場合には居住部分と適切に区別されているなど独立性が保たれていること
常勤役員等(経営業務の管理責任者)(以下、「常勤役員等(経管)」といいます。)又は建設業法施行令第3条の使用人(支店等において上記アに関する権限を付与された者)(以下、「令3条の使用人」といいます。)が常勤していること
専任技術者が常勤していること
営業用事務所としての使用権原を有していること(自己所有の建物か、賃貸借契約等を結んでいること)。住居専用契約は、原則として認められません。
看板、標識等で、外部から建設業の営業所であることが分かる表示があること

 営業所要件ウで触れた経管や、エで触れた専任技術者については、別のページでご説明します。

・許可の区分

また、許可には以下の2種類があり、営もうとする事業によって取得する許可が変わってきます。

要件許可の種類
発注者から直接請け負う1件の工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額が4,500万円以上(建設一式工事の場合は7,000万円以上)となる下請契約を締結して施行しようとする場合特定建設業許可
上記の特定建設業の許可を受けようとする者以外の者が取得する場合一般建設業許可

少し分かりにくいので補足しますと、自分が元請として受注した工事について、下請に工事を発注した場合、その下請に出した金額(請負金額)の合計が4,500万円以上かどうか(建設一式工事の場合は7,000万円以上)で、4,500万円以上の場合は、特定建設業の許可を取得しなければならない、ということです。

それ以外の場合は、一般建設業許可で足ります。

2種類に分かれていると簡単に説明しましたが、特定建設業許可は一般建設業許可に比べ、許可の要件が厳しいため、申請にかかる手間が随分と違ってきます。

なお、いずれの許可も、許可の日から5年目を経過する日の前日で満了してしまいます。継続して建設業を営む場合、更新の申請を行う必要があります。

許可の要件

建設業の許可要件は以下のとおりです。

  • 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること
  • 専任技術者を置くこと
  • 財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと
  • 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと
  • 欠格要件に該当しないこと
  • 社会保険への加入すること

詳しくは別の記事で解説しています。

まとめ

建設業を営む場合に必要な手続きについて解説しました。許可の要件はかなり複雑ですので、別のページで説明したいと思います。

当事務所ではお客様のご要望を受け、速やかに許認可手続きを行います。ぜひご相談ください。

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