【会社設立】地方に移住して新しく会社を作る最適な方法について

仕事

地方に移住して働く場合、会社などに勤める、農林水産業に携わる、など様々な選択肢があります。

働き方は多様ですが、自ら起業してみたいと思う方もいるのではないかと思います。ここでは、地方に移住して起業する方法についてご紹介します。

まずは情報収集

地方では自分が望む就職先がないも多いため、自分から新しく事業を始める人もいます。例えば、自分のこれまでの経験を活かした仕事を個人で始めたり、会社を設立して事業化するという選択肢もあり得ます。

新しく事業を始めたいと考えている人は、まず移住を希望する地域自治体や商工会議所などのホームページで情報収集することが重要です。新規に事業を始めることに対して資金面やノウハウ面で支援している自治体等も多いため、確認すると良いでしょう。

国は、地方創生起業支援金という仕組みを作っており、特定の起業に際して最大200万円の助成を受けることも可能です。この支援金は、特定の条件で移住する場合に活用できる地方創生移住支援金と併せて活用することもでき、その場合、最大300万円まで支援を受けられます。

また、「一般社団法人 移住・交流推進機構 JOIN」のサイトでは、起業する際に自治体から出される支援金なども調べることができます。何らかの支援を受けられれば、地方の起業に大きなプラスになりますので、ぜひ確認してみてください。

会社を設立する

いざ起業するという場合、主に4つの形態の中から選択することになります。

・株式会社
・合同会社
・合名会社
・合資会社

この中でよく選択される形態は株式会社と合同会社です。参考として、株式会社と合同会社の違いを掲載します。

          株式会社合同会社
意思決定の方法株主総会総社員の同意
所有と経営原則として完全分離原則として同一
出資者責任間接有限責任間接有限責任
代表者の名称代表取締役代表社員
役員の任期最長10年任期なし
決算公告 ※必要不要
定款認証必要認証不要
利益の配分出資比率に応じる定款で自由に規定可能
※決算公告とは、会社の決算について公に告知すること。株主や債権者などに会社の経営成績等を明らかにすることを目的として行う。

株式会社と合同会社の大きな違いは、決算公告しなくて良いことですが、決算公告は株主や債権者などへの説明責任を果たす意味合いがあるため、決算公告が義務となっている株式会社への社会的な信用度の方が高いといえます。
実務的にも、金融機関等からの融資など資金調達の面で有利に働くこともあるかと思います。 

会社を作るためには、法的な手続きを踏まなければなりません。具体的には、定款(会社の憲法のようなもの)を作成したり、資本金(株主が出資した金額)を用意するほか、役所(法務局)に登記手続きを行うことが必要です。

会社の設立手順(株式会社の例)

会社設立の手順は以下のとおりです。なお、2006年5月に施行された会社法により、資本金1円以上、取締役1名以上で株式会社を設立可能となりました。

  • 発起人の決定

まずは会社を作る最初の段階として、発起人を決定する必要があります。
発起人とは、資本金の出資や定款の作成など、会社設立の手続きを行う人のことです。
1名からで足ります(1名以上必要です)。起業する人自らが発起人になることもできます。なお、法人も発起人になることができます。
発起人は、設立する会社の基本事項を決めることになります。例えば、会社の名前、目的、事業内容、本店所在地、資本金の額、役員の構成、決算期など、会社の基本的な事項を決める立場にあります。

  • 定款の作成

定款とは、会社設立時に発起人全員の同意のもとで定める、会社の決まり事をまとめたもので、会社の憲法といえる極めて重要な規程です。
後々から変更もできますが、手続きが煩雑で、かつ営む事業が国や自治体の許認可が必要な場合、目的にその事業が入っていないと許可されないこともあります。どのような内容を記載するか、よく検討した方が良いでしょう。

定款には、必ず記載しなければならない事項(これを「絶対的記載事項」といいます)があり、具体的には、①事業目的、②会社の商号、③本店の所在地、④資本金の金額、➄発起人の氏名と住所、⑥発行可能株式総数の6つです。
これ以外にも、決めた場合には定款に記載しなければならない事項(これを「相対的記載事項」といいます)もあり、例えば、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人やほかの委員会を設置する場合は、記載する必要があります。
なお、定めていても定款に記載しなくてよい事項(これを「任意的記載事項」といいます)もあり、例えば、事業年度、役員の数などです。

定款は、公証人によって認証を受ける必要があります。定款の記載に法令上の問題がないかをチェックし、問題がないことを証明してもらいます。
なお、公証人は、遺言や任意後見契約などの公正証書の作成、私文書や会社等の定款の認証、確定日付の付与など、公証業務を行う公的機関(法務省・法務局所管)です。

公証人による定款の認証は、本店の所在地を置く都府県にある公証役場(公証人が在中する場所)であれば、どこで受けても構いません(北海道の場合は、本店の所在地を所管する公証役場であることが必要です)

定款認証の際、株式会社を設立する場合は「実質的支配者となるべき者の申告書」というものが必要となります。会社の事業経営を実質的に支配できる「実質的支配者となるべき者」であると申告するための書類です。
申告内容は、実質的支配者の「住所、氏名、生年月日、性別、国籍」と「暴力団員等に該当するか否か」です。

  • 出資金の払い込み

発起人は、引き受けた株数に相当する金額を、金融機関に振り込みます。
発起人が1人の場合は預け入れだけでも構いませんので、移住して1人で会社設立する場合、普段使用している通帳への預け入れで足ります(定款作成日以降の入金である必要があります)。

  • 登記申請

法務局に登記を申請します。登記の際には主に以下の書類が必要です。
 ・定款
 ・株式発行事項の決定を証する書面
 ・本店所在地の決定を証する書面
 ・設立時取締役等の選定を証する書面
 ・設立時代表取締役等の選任を証する書面
 ・設立時取締役等の就任承諾書
 ・印鑑証明書(代表取締役または取締役)
 ・払込みがあったことを証する書面
  など
司法書士等を代理人として登記申請する場合、上記に加え、委任状なども必要となります。

合同会社もほぼ同様の手順ですが、定款の認証が不要となります(定款の認証が必要なのは株式会社と一般社団法人・一般財団法人です)。

・税務署等への届け出の提出

法人を設立したことを、税務署や県税事務所(東京都の場合は都税事務所)、市町村に届け出なければなりません。

税務署へは、法人設立日から2か月以内に「法人設立届出書」を提出します。株式会社の設立であれば、定款を添付します。
人を雇う場合、源泉所得税関係の届出書も必要です。加えて、青色申告の承認申請書なども必要に応じて提出することになります。具体的には、税務署か税理士などの専門家に相談した方がよいでしょう。

県税事務所や市町村にも法人設立届出書を提出します。税務署と異なり、履歴事項全部証明書(登記事項証明書)の添付も必要です。
また、提出期限も自治体によってこと異なっており、例えば東京都の場合は設立日から15日以内、千葉県の場合は設立日から1か月です。

まとめ

地方に移住し、会社を設立して起業する場合に必要な手続きについて解説しました。意外と行う必要がある手続きが多いことに驚かれた方もいると思います。

会社を起業したい場合、専門家に相談するなどして事務手続きの負担を少しでも軽くし、実際に行う事業に対して注力したいですね。

登記については司法書士に、税務については税理士に、書類全般の作成や提出については行政書士に相談すると良いかと思います。専門家については、以下のページも参考にしてみてください。

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