卒業後、地方移住する大学生への国の支援金について【地方就職支援金】

移住

大学進学を契機に首都圏に集まる学生が非常に多く、その分、地方から若者が減ることで地方の活力が失われている現実があります。

東京・埼玉・千葉・神奈川のいわゆる東京圏については、バブル経済崩壊後の一時期を除いて、転入超過が続いています。2018年には転入超過が13.6万人となっており、東京圏には日本の人口の約30%にあたる約3,700万人が住むなど、東京圏に人口が一極集中しています。そして、2018年の東京都の出生率は1.20と全国最小であり、東京圏に人口が集中していくことにより、今後、更に人口減少を加速させることが予想されています。

そこで国は、若い世代である大学生の地方への移住を促進するため、主に資金面を支援できる新しい仕組みを作りました。
今回は、大学生の地方移住への支援について、説明します。

就職支援制度の概要(地方就職学生支援事業)

  • 概要

都内に本部がある大学の東京圏内のキャンパスに通う学部生が、東京圏外の企業の採用活動(選考面接)に参加するための交通費を支援金で支援してもらえます。
また、令和7年度からは、この交通費支援を受けた学生が実際に地方に移住する際にかかった引越し費用を支援する仕組みが導入される予定です。

  • 詳細

都内に本部がある大学の東京圏内のキャンパスに通う学部生が、

①卒業年度の6月1日以降に実施される東京圏外の企業の採用活動(選考面接)に参加するための交通費を支援

②令和7年度からは、この交通費支援を受けた学生が実際に地方に移住する際にかかった引越し費用を支援する予定

  • 東京圏とは?
    東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県のことを指します。
    ただし、都内などでも過疎化が進んでいるなど一定の地域については、「条件不利地域」として東京圏から除外=支援の対象となります。
  • 条件不利地域とは?
    条件不利地域は、以下が指定されています。23区からこの市町村への移住は、交付金の対象となります。
    東京都:檜原村、奥多摩町、大島町、利島村、新島村、神津島村、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ケ島村、小笠原村
    埼玉県:秩父市、飯能市、本庄市、ときがわ町、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、神川町
    千葉県:館山市、旭市、勝浦市、鴨川市、富津市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、東庄町、九十九里町、長南町、大多喜町、御宿町、鋸南町
    神奈川県:山北町、真鶴町、清川村

地方就職支援金の対象

対象者の条件などは以下のとおりです。

項目条件
対象者・本部が都内にある大学の東京圏にあるキャンパスに原則として4年以上在学する卒業年度の学部生(申請時)であって、移住先の要件を満たす地域に移住・就職する人。
 東京圏にあるキャンパスとして対象となっているところは一覧化されています。
  ⇒対象キャンパス
移住先東京圏外、または東京圏のうち条件不利地域の市町村に移住
(勤務地と移住先の市町村が同じ都道府県の中にあることが必要です)
補助額①就職活動に関する規定に沿った活動(6月1日以降の選考面接)に要した交通費の最大1/2。
②上記の交通費支援を受けた学生が、実際に地方に移住する際にかかる移転費(詳細は追って発表される予定)
申請受付・令和6年10月1日(月)以降の正式な内定後に申請
申請に必要な書類等・申請書(当該市町村へ移住する意向の宣誓)
・就職先企業による証明書
・在学証明書(原本)
・交通費の領収書    など

※諸条件の詳細は都道府県によって異なります。移住先の都道府県の要件を必ず確認してください。

参照:内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生

参考1:地方へのインターンシップに対する支援

地方自治体は、若者に早い段階で地方での仕事を体験してもらうため、インターンシップへの支援を行っています。

国も地方自治体のインターンシップに支援を行っており、自治体のインターンシップ情報をまとめています。
まだ就活を始めていない大学生の方にとって、将来を考える貴重な機会になるものです。

参照:地方創生インターンシップ

例えば長野県へのインターンシップの場合、県が交通費と宿泊費を最大4万円補助してくれるなど、手厚い支援を受けることができます。
地方へのインターンシップを検討する際、ぜひ支援を活用してほしいですね。

参考:シューカツNAGANO

参考2:高校段階からの地方との結びつき支援

国は、将来的な関係人口(その地域との結びつき)の創出・拡大を目指し、高校段階での「地域留学」を推進するため、全国から高校生が集まるような高等学校の魅力化に取り組む地方公共団体を、令和2年度から支援しています。

※この事業における「地域留学」とは、高校生が在学する高等学校とは別の地域の高等学校において、1学年を過ごすことを指しています。

令和5年度は新規6校、令和4年度からの継続16校、計22校が採択されています。

若い人が地方との結びつきを持つことで、その後、大学への進学で都会に移住した場合でも、やがては結びつきのある自治体に移住してほしいという趣旨の制度です。
国も本腰で若者の地方移住を支援していることがよく分かります。

参考:地域みらい留学

まとめ

大学生の地方移住への支援の仕組みについては、まだ制度設計中の部分も多く、今後、それぞれの都道府県から詳細な要件が公表されてくるものと思われます。

地方の復活には、若い世代は移住し、その地で働くことが一番の特効薬です。地方で足りないのは、生産年齢人口とも言われており、若い世代の移住・就職こそ、地方を救うカギになるとも言えます。

ぜひ大学生の皆さんには、移住予定の都道府県のホームページなどを確認し、もらえる支援はもらいながら、新しい生活に臨んでいただきたいと思います。

支援の受け方などは、必要に応じ、行政書士などの専門家に相談しても良いかもしれませんね。

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