【旅行業】を起業する① ~移住先で旅行業を営む方法について 登録制度の概要~

仕事

地方へ移住した後、就きたい仕事としてよく挙げられるのが、観光業です。
一般的に観光業とは、旅行業、宿泊業、飲食業、アミューズメント産業、土産品産業、交通産業などの幅広い分野を包含した産業を指します。

かなり様々な業種が含まれますが、地方で観光に関わる仕事に就く場合、民泊などを含めた宿泊業、観光客などを想定した飲食業、地域で旅行ツアーを企画する旅行業などがメインとなると思います。

就職先としてであれば、それぞれを営む企業に採用してもらうことになりますが、自ら会社を立ち上げたりする場合、行政などから許認可を受ける必要があります。

今回は、観光業のうち、旅行業を営む場合に必要な手続きを解説します。国内旅行や地域に根差した旅行をメインに扱いたい場合、都道府県への申請となります。

旅行業の定義

旅行業は、旅行業法によって規定されています。

そして旅行業法では、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、旅行業協会の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的としています。

引用:観光庁_旅行業法概要

難しい定義づけがされていますが、要約すると、報酬を得て旅行に関する事業を営もうとする場合は、旅行業または旅行業者代理業の登録を受ける必要がある、ということです。

登録制度において、旅行業者の区分は、「第1種」「第2種」「第3種」「地域限定」に分けられています。
また、旅行業者の代理として業務を行う「旅行業者代理業」と、旅行業者の依頼を受けて行う輸送等の手配を行う「旅行サービス手配業」もあります。

旅行業の業務範囲は、
・パッケージツアーのように、旅行業者が、あらかじめ旅行計画を作成し、旅行者を募集するもの=募集型企画旅行
・修学旅行のように、旅行業者が、旅行者からの依頼により旅行計画を作成するもの=受注型企画旅行
・旅行業者が、旅行者からの依頼による宿泊施設や乗車券等のサービスを手配するもの=手配旅行
とされています。

旅行業を営むメリット

1 地方移住の経験を活かせる

旅行業は、旅行プランを作り、旅行したい人の旅を実現する業務です。地方に移住した人はきっと、その地域に何らかの魅力を感じ、定住したのではないかと思います。

その経験は、他の人よりその地域の魅力をはっきり伝えることができると思います。旅行業を営むメリットとして、自分の経験を活かして仕事ができる点です。
自分の感じた地域の魅力を伝える、素晴らしい仕事ではないでしょうか。

また、国内旅行のトレンドはメジャーな観光先ではなく、その地域ならではのもの、とされています。
地方の魅力は地方に移住した人が最も分かると思いますので、トレンドに合った旅行パッケージを作ることができるのではないでしょうか。

2 今後伸びる業種である

コロナ禍明けや円安等を背景としたインバウンドの盛況は、明らかに旅行業にプラスとなります。
日本政府観光局の発表では、2024年3月の訪日客数が308万1600人だったとのことで、単月で過去最高だった2019年7月の299万1189人を超えたとのことです。また、韓国やシンガポール、インド、オーストラリアなど17か国・地域からの訪日客は3月として過去最も多かったようです。

日本人の国内旅行消費額もコロナ禍前の水準に近付いています。コロナ禍で抑えられていた旅行欲を満たすため、国内旅行も盛況となると思います。今後まだまだ伸びる産業といって誤りはないでしょう。
引用:国土交通省_旅行・観光消費動向調査2023年年間値(速報)

このように、地方に移住した人が旅行業を選ぶのは、先見の明があるのではないでしょうか。

旅行業登録 概要

次に、旅行業の登録制度について、解説します。

旅行業は、区分に応じ、登録申請先(所管する官公庁)が異なります。

登録種別登録業務範囲登録申請先
○第1種旅行業海外・国内の募集型企画旅行
〇海外・国内の受注型企画旅行

〇海外・国内の手配旅行
〇他社実施の募集型企画旅行契約の代理締結
観光庁
○第2種旅行業国内の募集型企画旅行
〇海外・国内の受注型企画旅行
〇海外・国内の手配旅行
〇他社実施の募集型企画旅行契約の代理締結
都道府県
○第3種旅行業営業所の所在地とそれに隣接する市区町村内の募集型企画旅行
〇海外・国内の受注型企画旅行
〇海外・国内の手配旅行
〇他社実施の募集型企画旅行契約の代理締結
都道府県
○地域限定旅行業〇営業所の所在地とそれに隣接する市区町村内の募集型企画旅行
営業所の所在地とそれに隣接する市区町村内の受注型企画旅行
営業所の所在地とそれに隣接する市区町村内の手配旅行
〇他社実施の募集型企画旅行契約の代理締結
都道府県
○旅行業者代理業○所属旅行業者が委託する範囲の旅行業務都道府県

まず、第1種旅行業についてですが、旅行業登録の中でも、国内のみならず海外の募集型企画旅行を取り扱える登録区分です。
業種範囲も、募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行すべてに加え、国内・海外旅行のみならず、他社の募集型企画旅行も代理で扱える、オールマイティな区分です。
登録要件については、扱える範囲が広い分、重い責任を負っているという点から、十分な資産額を保有している必要があります。

第2種旅行業以下についてですが、国内の募集型企画旅行をメイン業務に据える場合の登録区分です。第3種以下は市町村に限定した募集型企画旅行の区分となっています。
保有すべき資産額は第1種に比べて低く抑えられており、特に第3種や地域限定の区分は、手早く旅行業を開始したいと考える事業者向けといえます。

まとめ

地方へ移住後、旅行業を営みたい人に向け、旅行業を始めるに際して知っておくことが必要な登録制度についてご説明しました。

続いて、旅行業を開業するのに必要な行政上の手続きについて、以下の記事で解説していきます。

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