移住先で民泊業を営む際に必要な事務手続きについて、解説します。
民泊業の概要については、以下の記事も参照してください。
住宅民泊事業法に基づく届出を行う際の添付書類
保健所への許可申請ではなく、住宅民泊事業法に基づく届出のみで事業を始める場合も、以下のとおり書類の添付が必要となります。
なお、実際の届出は、民泊制度運営システムを利用して行います。
1 個人で始める場合
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
1 | 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者に該当しない旨の市町村長の証明書 | |
2 | 未成年者で、その法定代理人が法人である場合は、その法定代理人の登記事項証明書 | |
3 | 欠格事由に該当しないことを誓約する書面(様式あり) | 署名または押印が必要 |
4 | 住宅の登記事項証明書 | |
5 | 住宅が「入居者の募集が行われている家屋」に該当する場合は、入居者募集の広告その他それを証する書類 | 「募集広告の写し」や「HPの掲載情報の写し」など、入居者の募集が行われていることを証明する書類です。 |
6 | 「随時その所有者、賃借人又は転借人に居住の用に供されている家屋」に該当する場合は、それを証する書類 | 近隣で日用品を購入した際のレシートなど、随時、賃借人または転借人が居住していることを証明する書類です。 |
7 | 住宅の図面(各設備の位置、間取り及び入口、階、居室・宿泊室・宿泊者の使用に供する部分の床面積) | 手書きの図面でも可ですが、台所・浴室・便所・洗面設備の位置、間取り及び出入口など、明確に記載すべき必要事項が定められています。 |
8 | 賃借人の場合、賃貸人が承諾したことを証する書類 | 賃貸人等が住宅宿泊事業を行うことを承諾したことを証する書類が必要です。 |
9 | 転借人の場合、賃貸人及び転貸人が承諾したことを証する書類 | 同上 |
10 | 区分所有の建物の場合、規約の写し | マンション管理規約の専用部分の用途に関する規約の写しなどです。 |
11 | 規約に住宅宿泊事業を営むことについて定めがない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを証する書類 | 届出時点で、住宅宿泊事業を禁止する方針が総会や理事会で決議されていない旨を確認した誓約書(様式あり)が必要です。 |
12 | 委託する場合は、管理業者から交付された書面の写し | 住宅宿泊管理業者と締結する管理受託契約の書面の写しを指しています。 |
このほかにも、住宅宿泊事業を行うにあたっては、消防法令に適合している必要があります。
消防法令適合状況の確認の手続(消防法令適合通知書の添付など)については、届出住宅を管轄する都道府県知事等に確認します。
また、消防法令において必要となる措置については、届出住宅を管轄する消防署等に確認します。
2 法人が始める場合
法人は、個人が始める場合で必要な書類のほか、定款(または寄付行為)、法人の登記事項証明書が必要となります。
旅館業法に基づく許可申請を行う際の添付書類
旅館業法に基づく許可申請は、都道府県などが所管する保健所に行います。
以下のとおり添付書類が必要です。
旅館業許可までの流れは以下のとおりです。
- 事前相談
申請場所・構造設備について、図面等を持参して保健所の窓口に事前相談します。
- 申請手続き
各種書類を揃え、保健所の窓口に提出します。必要な書類は主に以下の表のとおりです。
必要書類 | 備考 | |
---|---|---|
1 | 旅館業営業許可申請書 | 施設、構造設備の概要を記載します。 |
2 | 「旅館業法3条第3項各号に該当することの有無」に係る申告書 | 禁錮以上の刑に処せられ、(中略)その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して3年を経過していない者など |
3 | 見取図 | 半径300m以内の住宅、道路、学校等が記載されたもの |
4 | 配置図、各階平面図、正面図、側面図 | |
5 | 配管図 | 客室当にガス設備を設ける場合に必要 |
6 | 旅館業を営もうとする施設について土地及び建物に係る登記事項証明書 | |
7 | 旅館業を営むために必要な権原をを有することを示す書類 | 賃貸借契約書の写しや使用承諾書などを指しています。 |
8 | (法人の場合)定款又は寄付行為の写し | |
9 | (法人の場合)登記事項証明書 | 原本の提出が必要です |
- 関係機関への相談手続き
申請書を受理された後、建築基準法や消防法など関係法令に定められた手続きを実施します。
- 施設の検査
施設が完成したら、保健所の職員から、設備基準に適合しているかどうか等について検査を受けます。
- 許可
書類審査及び検査により基準に適合していることが確認されると、保健所より許可されます。当然のことですが、許可が出るまでは営業できません。
- その後、継続的に営業を続ける場合
施設を大規模に改修したり、営業者が変更となったりと、当初の申請から変更となった場合、一定期間内に変更届等を提出する必要もあります。廃業の場合も同様です。
まとめ
民泊を始めるのであれば、許可申請より届出の方が簡易です。
ただし、要件はしっかり定められていますし、近隣住民とのトラブルにならないよう、日頃からのコミュニケーションも必要です。
地方に移住した人が事業として民泊に取り組むケースも増えつつあります。
少子高齢化が進む地方にとって、交流人口の増加につながる民泊は、地方の活性化に資することから、民泊に興味関心があるようでしたら、前向きに検討してみては如何でしょうか。