地方移住して地域貢献のための資金確保策としてクラウドファンディングを活用しましょう

その他

地方移住して何か活動に取り組む場合、まずはお金が必要となります。
その地域のために非収益で何か貢献するのであれば尚更です。

必要な資金を用意するには、地域の金融機関から融資を受ける、自治体の補助金や助成金を活用する、などの方法がありますが、それぞれ審査に通る必要があり、簡単なことではありません。

そこで、その他の資金確保の方法として、「クラウドファンディング」を活用しては如何でしょうか。
インターネットを活用し、不特定多数の人からお金を集め事業を行う「クラウドファンディング」という仕組みを活用する方法について、解説します。

クラウドファンディングとは

このホームページをご覧の皆さんの多くも、クラウドファンディングについては何かしらの知識があるかもしれません。クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組合せた造語です。取り組みたい活動、企画などについて、インターネット上にページを作り、その活動への想いを社会に呼びかけ、広く支援者から支援(資金)を集める仕組み、とされています。

引用:消費者庁「クラウドファンディングの仕組み」

2000年代にアメリカで生まれ、日本では、2011年3月に「READYFOR」(レディフォー)という事業者が日本で初めてクラウドファンディングのサイトを構築しサービスを開始したとされています。
様々な事業者が相次いでクラウドファンディングのサイトを作り、環境を整備していきました。

クラウドファンディングで資金を集めたい場合、事業者の用意するサイト(プラットフォーム)に自分の企画を掲載し、一定期間内に資金提供を呼びかけます。企画を掲載する人のことを「起案者」と呼びます。また、起案者がサイトで公開している企画に資金援助をする人を「支援者」と呼びます。

クラウドファンディングの種類

資金の集め方などにより、主に3種類に区分されるのが通例です。なお、クラウドファンディングで集める資金の使い道は「プロジェクト」と呼ばれています。資金提供のお礼としての対価を「リターン」といいます。

  • 寄附型

寄付型クラウドファンディングとは、プロジェクトに対して支援者がお金を寄附をする形式のクラウドファンディングです。

資金提供の見返りとしてのリターンは原則的には発生しない形となります。対価性のない御礼の手紙や写真などを送る(支援者が受け取る)ことは可能です。

他方、税制控除の対象となりますので、支援者にもメリットとはなり得ます。

純粋な社会貢献を支援者にお願いすることが特徴です。

  • 購入型

購入型クラウドファンディングとは、プロジェクトに対して支援者がお金を支援し、支援者はそのリターンとして何らかの商品やサービスなどを得る形式のクラウドファンディングです。

支援者は、プロジェクトの企画者があらかじめリターンとして設定した商品やグッズ・サービス等を、まるで購入するような感覚で支援することができます。「ふるさと納税」と近いイメージです。なお、直接的に現金をリターンとすることはありません。

購入型クラウドファンディングは、インターネットを通じて商品等を販売する性質から「通信販売」に該当し、特定商取引に関する法律の規制の対象となります。クラウドファンディングの事業者は、誇大広告の禁止や、広告表示に係る規制等を遵守することになります。

  • 金融型(融資型、株式投資型)など

融資型クラウドファンディングとは、資産運用したい個人投資家から資金を集め、資金全体を大口化した上で企業に融資する形式のクラウドファンディングです。

個人から集めた資金を「融資」する形となりますので、寄付型や購入型と異なり、支援者は金銭的な利息を得ることができます。事業者は「貸金業法」や「金融商品取引法」などによる規制を受けます。

融資型クラウドファンディングに似た形式として、株式投資型クラウドファンディングというものもあります。最近この形式が着目され始めました。このクラウドファンディングは、個人の起案者ではなく、株式会社が起案者となって行う資金調達方法です。

個人投資家は、起案者である株式会社から出される詳細な情報を参考に投資を行い、非上場企業の未公開株を取得できることが特徴です。2015年より、株式投資を扱う第一種金融商品取扱業に少額の特例ができたことで、日本にも2017年頃からサービスが出てきています。

このほか、大手のクラウドファンディング事業者であるCAMPFIRE(キャンプファイヤー)が「ふるさと納税」型のクラウドファンディングを始めるなど、様々なサービスが生まれています。

まとめると、以下の違いがあります。

寄附型購入型金融型など
リターン対価性なしお金以外の商品やサービスお金(株式や配当金など)
税制控除ありなしなし
主な企画者公益的な団体さまざま(個人、法人)株式会社(中小企業など)
プロジェクトの主な種類社会貢献的な企画が多いさまざまビジネスの色合いが濃い

実施方式の設定:「All or Nothing 型」と「All In 型」

クラウドファンディングは、プロジェクトに対して目標金額を設定し、その金額の達成を目指す仕組みです。このうち、購入型クラウドファンディングについては、目標金額の達成に対して、「All or Nothing 型」と「All In 型」の2つの形式を定めることが一般的です。

All or Nothing 型All In 型
支援金目標金額に達した場合のみ支援金を受け取る目標金額に達しなくても支援金を受け取る
手数料目標金額に達した場合のみ発生目標金額に達しなくても発生
プロジェクトの実行など目標金額に達した場合のみ実行目標金額に達しなくても実行の必要あり

上記のとおり、「All or Nothing 型」は、目標金額に達していないと支援金を受け取ることができません。たとえ1円でも達成していないと、クラウドファンディング事業者から入金されることはありません。

他方、「All In 型」は、目標金額の達成如何に関わらず、支援金を受け取ることができますが、必ずプロジェクトを実行しなければなりません。仮に必要な金額が集まらず赤字になる見込みだとしても提案していたプロジェクトを実施する必要があります。

「All or Nothing 型」「All In 型」いずれにも一長一短ありますが、いくら集まっても必ず実行する必要があるプロジェクトであれば、「All In 型」を選択しても良いかと思います。

なお、クラウドファンディング事業者により、「All In型」は自治体、大学、公益法人(公益社団法人、公益財団法人)、認定NPO法人、上場企業などの信頼度の高い起案者のみに限定して選択可能としていることもあります。

起案者のリスクについて

クラウドファンディングが成立した場合、起案者は支援者に対し、プロジェクトページの内容に従ってプロジェクトを実行し、また、リターンを提供する義務を負います。

プロジェクトを確実に実施し、かつリターンを行うプロジェクトであればその対応(リターンとして設定した商品等を郵送する、など)も確実に行わないと、起案者の社会的な信用が地に落ちる可能性もあります。

なお、当然ですが、クラウドファンディングも契約の一つですので、契約違反として責任を追及されることにもなります。

理想とするプロジェクトを作ったとしても、資金を集めた上で本当に実行できるのかをプロジェクト開始前に改めてしっかり振り返り、少しでも不安があるのであれば第三者に相談してみるなど、冷静な目で見直すことが必要です。

クラウドファンディングの事業者について

クラウドファンディングを行う場合、プロジェクトを掲載するサイト(プラットフォーム)を運用している事業者のいずれかを選択する必要があります。

事業者によって特色があり、自分のプロジェクトと事業者のサイトの方向性が合っているかを十分に検討しないと、目標金額を集めることができない可能性もありますので、事業者決め(プロジェクトを掲載するサイト決め)は慎重に考えましょう。

また、検討における重要なポイントとして、
①サイトを利用している支援者の人数
②サイトの特徴=どんなプロジェクトに関心がある支援者がいるサイトなのか
③目標金額を達成した場合にクラウドファンディング事業者(サイト運用者)に支払う手数料はいくらか
などが挙げられます。

初めてクラウドファンディングでプロジェクトを作るのであれば、サイトへの掲載の方法(どのような書き方が良いのか、リターンはどのようなものが良いのか、など)を無料でレクチャーしてくれる事業者もありますので、優先して選択・相談しても良いかもしれません。

大手のクラウドファンディング事業者として、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)・READYFOR(レディフォー)・Makuake(マクアケ)が代表的なものと言えますが、他にもたくさんの事業者がサイトを運用しています。

CAMPFIREは最も支援者が多い反面、プロジェクト数そのものが多く、成立しないものも散見されます。リターンの内容を工夫するなど、支援者の関心を惹く内容とする必要があります。
READYFORは、支援者の数ではCAMPEIREに及びませんが、公共性を有するプロジェクトへの支援を重視した支援者が多く登録しているとされるサイトでもあります。
CAMPFIREが運営する「CAMPFIRE for Social Good」は社会貢献活動を行う団体のためのサイトです。非営利の団体の社会貢献活動であれば、手数料0%で利用可能です。
サイトのそれぞれの特徴をつかみ、実施したいプロジェクトに合ったサイトを選びましょう。

サイト手数料特徴
CAMPFIRE17%+税・国内最大級の規模(支援者数400万人、支援総額850億円超。国内クラウドファンディング総数に占める件数は約50%で1位)で支援者数が多い。
・様々な発案のプロジェクトが混在しており、リターン(支援者のメリット)の内容に成否が影響される印象。
Readyfor14%+税・社会貢献に関するプロジェクトの掲載が多く、支援者も社会貢献に関心がある層が多いと思われる。
・寄附型のクラウドファンディングに強く、リターンに対価性のないプロジェクトも成功している事例が多い。
・All In 型は公益的な団体のみ選択可能。
Makuake税込20%・「アタラシイものや体験の応援購⼊サービス」を標語としており、新商品や新サービスを消費者がいち早く応援購⼊できる。
・サイトは新商品などのデビューの場としての活用を推奨している。
・支援者数260万人以上、支援総額900億円以上と、マーケットとしては大規模。
kibidango10%・単発のプロジェクトではなく、商品やサービスを具体化し、継続して世の中に提供していくことを目的としている。
・「寄附を募る」ではなく、支援と等価価値あるモノを支援者が受け取れる仕組み。
・プロジェクト成功を重視しており(成功率80%!)、スタッフのサポートが充実。
CAMPFIRE for Social Good0%(支援者が12%(+税)を負担)・CAMPFIREのサービスの一つで、社会貢献に関するプロジェクトを掲載できる。
・原則として、非営利の団体が起案者となる必要あり。
・起案者が手数料を負担しないことが特徴。

なお、プロジェクトの成功率については、CAMPFIRE の統計によれば、クラウドファンディングを実施したことがある起案者の企画であれば60%弱、未経験の起案者の企画であれば40%弱、という調査結果が出されています。

プロジェクトが失敗してしまってもその経験を活かして再トライすることで成功する可能性もあります。

参考リンク → CAMPFIRE統計データ

実際のプロジェクト作成

サイト事業者を決めたら、掲載するプロジェクトの概要、現状の課題、資金の使途、リターンなどを検討し、サイトに記載していきます。

大切なのは、プロジェクトの重要性とそのプロジェクトを阻む課題に対して、資金を得ることでどうやって解消するかのストーリー性を支援者に伝えられるかです。この部分を曖昧にすると、サイトの読み手である支援者の興味関心が薄れてしまい、最後まで読んでもらえない可能性があるでしょう。

加えて、リターンをどのようなものにするのかが大切です。

寄附型クラウドファンディングの場合、対価性のあるリターンを用意することはできませんので、換金性のないもの(例えば御礼のお手紙など)で支援者に納得してもらえるものを用意する必要があります。

購入型クラウドファンディングの場合、商品等を用意しても問題ありません。ただし、リターン1件ずつに金額を設定しますので、そのリターンで提供しようとしている商品の実際の金額と、支援してもらう金額に大きな乖離がある場合、支援者の反感を買う可能性もあります。例えば、1万円支援してもらうリターンに対し、実際の定価10円のものを用意しても、支援者は集まりにくいでしょう。金額設定は重要な視点となります。

まとめ

クラウドファンディングの活用法について、概要を解説しました。地域貢献のための資金獲得手段としてクラウドファンディングを利用する事例は大変多くなってきています。

先ほども記載したとおり、うまく利用することで想定外の資金獲得が可能となる反面、プロジェクトを必ず実行しなければならないなど、リスクも存在します。実際にクラウドファンディングに取り組む場合、インターネットを活用しサイト事業者を比較するとともに、利用したいサイト事業者と打ち合わせするなどして、自分の行いたいプロジェクトを十分に整理し、実現可能なプロジェクトを作ることが肝要です。

初めてクラウドファンディングを利用する場合は色々と心配もあると思いますから、もし近くにクラウドファンディングを行ったことのある人がいれば、体験を聞いてみても良いかと思います。受託事業者のような専門家を頼るのも選択肢かもしれません。

いずれにしても、金融機関からの融資等に比べてハードルは低いですので、活用について検討しては如何でしょうか。 地域貢献に関するプロジェクトに対し資金が集まり、それにより地域が元気になればとても良いことですね。

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