地方が好きだがいきなり移住というとハードルが高い、という人も多いと思います。また、移住は考えていないが地方と関わりを持ちたいという人もいます。
地方にとっても、外部の人と関係を築くことにより、地域が盛り上がることになります。地方の復興の切り札となるかもしれません。
地域内外にとってプラスとなる関係人口とはどのようなものか、その導入について解説します。
関係人口とは
「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々のことを指します。
人口減少・高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面していますが、変化を生み出す人材が地域に入り始めている例も多くあり、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されています。
国は、関係人口の増加に向け、ポータルサイトとなるHPを作成し、積極的な取組を進めています。
参考:関係人口ポータルサイト
このように関係人口は移住を前提とせず、地域との関係を築く仕組みですが、完全な定義は定まっていません。あえて定めておらず、誰でも自由に参加できる仕組みともいえます。
関係人口の作り方
関係人口は、以下のような取組により築くことができます。
- 商品を買ってもらう
地域の商品を買ってもらい、関係を築くスキームです。地域外の人にとっては、手軽に物を購入することで関係を築くことができ、地域の人にとっては、商品を買ってもらい、かつその後の交流につながるというメリットとなります。
地域の人としては、観光などで直接現地に訪れた人に商品を販売する以外に、
①「ふるさと納税」に商品を出す(自治体に商品を登録してもらう)
②インターネットで商品を販売する
③クラウドファンディングの返礼品として商品を出す
といった、ネットを活用しての地域外の人との関係構築を目指すことが想定されます。
- 地域に訪れて交流してもらう
観光などでただ地域を訪れてもらう以上に、お祭りやイベントにスタッフとして参加してもらうスキームです。ボランティアやアルバイトといった形で関係を築くことになります。
単なる観光と異なり、地域の人と一定程度関係を持ってもらうことで絆を深め、その後の関係性を築きます。
地域の抱える課題をともに解決するプロジェクトを立ち上げて、オンラインや直接訪問などで関係性を深める例もあります。
- プレ2拠点居住
本格的な移住ではなく、週末などの短期間に地域で過ごしてもらう、テレワークを活用したワーケーションにより住んでもらうなど、2拠点居住に近い形で関係を築くスキームです。
移住すると仕事を変える必要がありハードルが高くなりますが、今就いている仕事をそのまま継続できるメリットがあります。
地域としては、安価で滞在できる宿泊施設を用意する、Wi-Fiなどの通信機能を備えた場所を用意するなど、プレ2拠点居住しやすい状態を用意し、そのことをPRする必要があります。
関係人口の仕組みの中で、最も関係性は深い形となります。
関係人口を築くターゲット
関係人口を築くには、そのターゲットをしっかり定めることが成功のカギです。
まったく関係性の無い人に対して観光などをきっかけに関係性を築く方法もありますが、それ以外に、
①地域の出身者
②地域に住んでいないが仕事などで通勤通学している人
もターゲットとなります。
①の人に対しては、地域出身者に参加してもらいやすい企画(地域の祭りやかつて行われていたイベントなど)を用意し、インターネットをSNS、直接の通知などによりアナウンスを強化して、まずは関係性を復活させる取り組みが必要です。
②の人に対しては、通勤通学している企業・学校に対し、地域のイベントや課題解決プロジェクトへの参加など、連携を依頼することから始まります。その取り組みの中で、企業・学校の個人に関心を示してもらい、関係性を構築することが有効です。
まとめ
地域の活性化にとって、地域外の人との関係性の構築は不可欠の時代となっています。
有志により関係人口を築くプロジェクトを立ち上げ、できる限り地域の人に参加してもらうことが、関係人口の増加につながっていきます。
具体的な取り組みを行っている自治体も多く、例えば、長野県木曽町三岳地区では、地域の商品を購入いただく場として「道の駅三岳」を用意し、そこを足掛かりとして関係人口を増やし、地域活性化に繋げています。
全国各地でこのような動きがみられ、今後、更に盛り上がっていくのではないかと思います。
もし関係人口増加に取り組みたい有志の方であれば、地元の自治体との連携が不可欠な取り組みでもありますので、地元自治体の動向も確認しながら進めてください。