【地域おこし協力隊】地方移住の起爆剤である、地域おこし協力隊とはどのような仕組みなのか

その他

地域おこし協力隊とは、総務省を中心とした国が進める、地方振興策の一つです。平成21年度から導入され、令和4年度時点で6,000人までの規模に発展してきました。

都市地域から過疎地域等に住民票を異動し、おおむね1~3年間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援、農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組、とされています。

地域おこし協力隊として地方に移住すれば、資金面でサポートを受けられ、かつその地域の活性化に自分の知識・経験を活かせることから、移住希望者にとっては、移住先での仕事の一つとして選択しても良いのではないかと思います。

ここでは、地域おこし協力隊について、具体的な実態等を解説していきます。

活動の状況

令和4年度の地域おこし協力隊の隊員数は、前年度から400名ほど増加し約6,400人となり、インターン参加者数を含めた合計数は、約6,800人となっています。
また、受入自治体数は、前年度から31団体増加し、1,118団体(受入可能自治体1,461団体の約77%)となりました。

地域おこし協力隊の仕組みは、地方自治体が自主的・主体的に取り組むことを前提とした制度となっており、基本的には受け入れる自治体の裁量で実施されます。募集、採用、運営は自治体が自ら検討し、推進しています。
国は地域おこし協力隊を導入する自治体に資金面での支援(特別交付税措置)などを行っています。

総務省のHPに都道府県別の受入隊員数が掲載されています。

 出典:令和4年度地域おこし協⼒隊の隊員数等について

北海道や長野県で地域おこし協力隊員として活動している人は特に多く、地域的には東北地方の県の隊員数が多いように思います。
基本的には、どの県も順調に隊員数を伸ばしてきていますが、それぞれの県は独自にPR活動に取り組んでいることの成果ではないかと思います。

男女別、年齢別の構成比は以下のとおりです。

 出典:令和4年度地域おこし協⼒隊の隊員数等について

男女比は男性:女性で6:4程度であり、20~29歳の層と、30~39歳の層がそれぞれ35%程度を占めており、全体で約7割となっています。
比較的若い世代がこの制度を利用し、地方への移住を決断していることが分かります。

活動内容については、農林水産への従事や地域コミュニティ活動、地域産品の生産・加工・開発に関する活動などが多く、自治体のニーズと地域おこし協力隊に参加する人の知識・経験によって様々です。
地域おこし協力隊として活動する方たちの実際の活動については、インターネットを活用し、様々に情報収集することが可能です。
例えば、総務省の以下のHPでは、それぞれの都道府県で活動する地域おこし協力隊の方たちの事例を読むことができますので、ご参考まで。
 ⇒「全国活動事例リレー記事」

地域おこし協力隊になるまで

地域おこし協力隊は、自治体が主体的に取り組んでいる事業であり、自治体が募集・選考しています。

  • 情報収集

地域おこし協力隊については、その概要から募集状況まで、総務省や関係団体により様々に状況発信されていますので、例として以下の通り掲載します。
 ⇒総務省HP
地域おこし協力隊の国の推進役です。制度の概要などが記載されています。まずはどのような制度かを調べる第一歩のHPで、過去の国の取組などが豊富に掲載されています。
概括的な説明なため、少し分かりにくいかもしれませんので、以下で紹介する「ニッポン・移住交流ナビ」などでフランクに情報収集した上で、制度の確認のためにチェックしても良いかと思います。
 ⇒「ニッポン・移住交流ナビ」
一般社団法人 移住・交流推進機構JOINが運営するサイト「ニッポン・移住交流ナビ」の中で、地域おこし協力隊の自治体募集状況を検索することができます。
いろいろな条件で検索することも可能ですので、どの地域に移住を希望するか明確になっていない場合、検索して探してみるのも良いかと思います。

  • 自治体へのアクセス

気になる自治体のHPなどで情報収集した後、実際に電話やメールなどでアクセスしてみましょう。
電話は少しハードルがあるかもしれませんが、メールよりも電話してみることをおススメします。今後その自治体の担当者とやり取りすることになりますので、電話の印象で申し込むかを決めることも大切なステップかと思います。
なお、時期によってはその年の募集を締め切っている可能性もあります。

  • 自治体への申し込み、面接、選考

自治体へ書面等による申し込みを行います。書類選考に合格すると、面接となります。自治体のスケジュール管理にもよりますが、概ね1~2か月で結果が出るものと思います。

  • 選考に合格!自治体から委嘱状を受ける

選考の結果、合格となりましたら、晴れて地域おこし協力隊として働くことになります。
働き方の形態として、その自治体の直接雇用となるか、委託先の事業者(受託事業者)となるか、このいずれかが主です。
自治体の募集時点で要綱などに記載されているはずですので、そこも踏まえて応募を検討しても良いかと思います。
いずれの形態でも、自治体から地域おこし協力隊として委嘱を受けます。

  • 移住して活動開始!

地域おこし協力隊として働くため、その自治体に住民票を移し、移住します。
移住の費用などは自治体で助成制度を設けていることが多いですので、自治体の担当者に確認しましょう(確認しないと教えてもらえないことも…)

活動後について

自治体の取り決めによりますが、概ね1~3年が経過すると、地域おこし協力隊の任期は終了となります。
総務省では、任期終了後についても調査結果を示しており、以下のとおりとなっています。

出典:令和4年度地域おこし協⼒隊の隊員数等について P10以降より

調査結果では、地域おこし協力隊として活動した地域と同じ地域に定住した人は、全体の65%ほどとなっています。ただ、転出者も2割ほどおり、不明者も1割いることから、地域おこし協力隊後の確実な定着とまでは至っていないようです。
ただ、1~3年間の活動の中でその自治体の空気感を知ることのできる仕組みですので、移住希望者にとってはこの制度を活用し、資金面でのサポートを受けながら今後の住まいを決められる、ある意味でリスクを減らしながら地方移住できる制度といえます。

定住した人たちの仕事についても調査されています。

出典:令和4年度地域おこし協⼒隊の隊員数等について P10以降より

意外と起業している人が4割もいて、多いことに驚くのではないでしょうか。
起業先としては、飲食サービス業(古民家カフェ、農家レストランなど)や宿泊業(ゲストハウス、農家民宿など)、小売業(パン屋、ピザの移動販売、農作物の通信販売など)が多いようですが、デザイナーや写真家、美術家もいるようです。
酒造や民宿の承継などの事業承継に取り組んだ人もいるようで、地域の活性化に大いに貢献しているといえます。

地域おこし協力隊の国の助成など

地域おこし協力隊の取組を進める自治体に対し、国は以下のとおりの支援を行っています。
国の自治体への支援は「特別交付税措置」という仕組みで行われており、直接的に地域おこし協力隊が支援を受けられるわけではありません。

  • 隊員の募集・受⼊

①地域おこし協⼒隊員の募集等に要する経費︓300万円/1団体を上限
②「おためし地域おこし協⼒隊」に要する経費︓100万円/1団体を上限
③「地域おこし協⼒隊インターン」に要する経費︓100万円/1団体を上限、1.2万円/1⼈・1⽇を上限

  • 隊員の活動期間中

④地域おこし協⼒隊員の活動に要する経費︓480万円/隊員1⼈を上限
・報償費等…280万円
・その他の経費…200万円
⑤地域おこし協⼒隊員の⽇々のサポートに要する経費(市町村のみ)︓200万円/1団体を上限

  • 隊員の任期終了後

⑥地域おこし協⼒隊員等の起業・事業承継に要する経費︓100万円/隊員1⼈を上限
・任期2年⽬から任期終了後1年以内の起業⼜は事業承継が対象。
⑦任期終了後の隊員が定住するための空き家の改修に要する経費︓措置率0.5

総務省の設けている上記の助成を自治体が受け、それを原資に自治体で地域おこし協力隊に支援する仕組みです。このため、自治体それぞれで助成対象や助成金上限などが異なっています。
詳しくは自治体の担当者や地方創生に詳しい専門家に確認するなどが良いかと思います。

お試し制度の紹介

地域おこし協力隊に少しでも関心があるようでしたら、お試しで参加するのも一手です。
まだ仕組みを導入している自治体は多くはありませんが、短期間に地域おこし協力隊を体験できるようにしている自治体もありますので、以下のリストや自治体HPを参照してみては如何でしょうか。

 ⇒ おためし地域おこし協力隊を募集する地方公共団体リスト(令和6年2月1日時点)

 ⇒ 地域おこし協力隊インターンを募集する地方公共団体リスト(令和6年2月1日時点)

まとめ

地域おこし協力隊について取り上げてみました。
平成21年開始以降、地方移住に関する国の重要な取組として認知されており、自治体へのバックアップも手厚くされています。地方に移住を希望している場合、資金面での支援が手厚いことから、この制度を活用するのも視野に入れてはどうでしょうか。

この仕組みの活用により地方移住している人は確かに増えています。地域おこし協力隊に参加し自治体の課題などを認識した人が地方で起業等することで、その地域は確実に活性化されます。
関心がある人は、ぜひ自治体のHPをチェックしていただければと思います。

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